なぜハゲはモテたのか?

どうも、若ハゲ番長です。

今回は生物学のお話で、進化の過程でなぜ男は髪が薄くなるようになったのか?という話です。

生物は生存・生殖に有利な個体が遺伝子を残します。

結論から言ってしまうと

ハゲの方が女にモテたからです。

ハゲ遺伝子を持っている方が子孫を残すのに有利だったのです。

ヒトの特殊事情

数十万年前、文明が発達する以前は若い男よりも年寄りの男の方がモテていたと考えられています。

普通の動物は若くて健康なオスの方がモテます。

ヒトには他の哺乳類とは全く違う特殊事情があった為です。

原始時代は年寄に価値があった

江戸時代でさえ平均寿命は35~40歳程度だったと考えられています。

 

原始時代の寿命

農耕も始まる前の原始時代であれば、もっと寿命が短かったことは確実です。

医療が今ほど発達していないのは江戸と大差ないかもしれませんが、当時はまだ狩猟採集の生活だったので、飢餓で多くの人が死んでいたはずです。

平均寿命は長めに見積もっても20代後半で、40歳以上はかなり長生きの部類、50歳なら長老(部族長)です。

今、年寄というとヨボヨボのおじいちゃんを想像するかもしれませんが、ヨボヨボになるまで生きてるヒトはほぼいなかったと考えられます。

 

ヒトの場合、他の動物と異なり、高度な知能を持っていました。

そのため、長く生きている者ほど多くの知識を持っており、部族全体の生存率を上げることができました。

男は年寄りほどモテた

また、原始時代の人類は部族同士で延々と抗争を繰り広げていました。

高齢の男はその戦いを生き抜いているはずなので、強さの証とも見なされます。

部族の権力者でかつ強いとなると現代で言うハイスペなので、女子全員の羨望の的です。

そういう事情で、年寄の方がモテていたわけです。

年寄りと言ってもこの時代では40程度なわけで、現代なら働き盛りで、生殖能力も問題ありません

 

ハゲは年寄りの証

その結果、一部の男は自分を老けて見せた方が生殖に有利だと気づいてしまいました。

髪は加齢によって自然と減っていくものなので、早めに髪減らしといた方がモテるんじゃね、と。

その作戦が功を奏して、彼らは子孫を効率良く残すことができたので、現代にも早めに髪を減らす遺伝子が残っているわけです。

 

番長
余談ですが、この言い方は正確ではないのでテストの答案で書くと☓になります。

答案で書くなら「髪を早めに薄くする遺伝子を持っている男が効率よく生殖を行えたため、髪を早めに薄くする遺伝子が現在も残っている」となります。

 

ハゲの運命の分かれ道

モテモテだったハゲにも運命の転換点がやってきます。

それは今から4000千年ほど昔のことです。

農耕と文明の発達

大転換となったのは人類が狩猟採集よりも農耕の方が効率が良いと気づいたことです。

行き当たりばったりというか運任せの要素が強かった狩猟採集よりも農耕であれば、食料生産の見通しが立ちやすくなり、食糧不足で大量に餓死者が出るようなことも減りました

原始時代の部族は多くても構成員は数百名程度だったと考えられていますが、この頃になると1部族(民族)で、もっと多くの人数を賄えるようになり、構成員が急激に増えました。

人数が多くなると、仕事を専門化して分業体制を敷くことができ、生産性が向上します。

栄養状態が安定し、かつ労働ストレスも減ったことから、平均寿命は一気に伸びたと考えられています。

文字の発明

その結果、生活に余裕が生まれ、一部の人々が頭を使うことに集中できるようになり、文字が発明されました。

文字ができてパピルスなんかで情報が保存できるようになると年寄の価値は暴落しました。

女性の選択基準

そうなると、女性陣の選択基準も変わって来ます。

ハゲた年寄よりも若くて生殖能力の高い男の方が良いじゃない、と。

文明が発達して平均寿命が伸びたことで、ハゲの価値はプラスからマイナスへ転じてしまいました。

古代ギリシアでも「俺、ハゲるの嫌だなぁ」的なことが書かれた文章が残っていたらしいです。

 

進化は行き当たりばったり

ヒトの遺伝子は原始時代からほとんど変わっていので、今も早めに髪を薄くする遺伝子を持った男が残っているわけです。

通常、生物の進化には数十万年以上かかるので。

生物学の勉強をしてると、ホモ・サピエンスはかなり行き当たりばったりで進化してきたんだなと思うことが多いです^^;

これは設計ミスなんじゃないか、と思いたくなるようなメカニズムが今の人類にも残ってます。

今は科学の力で薄毛は治せる時代になりましたし、女性の生殖相手の選択基準も多様化しているので、この世界からハゲが絶滅することはないと思います。

 

P.S. 原始時代にモテた女とは?

余談ですが、原始時代の女性のモテ事情は現在とはかなり違っていました。

今なら可愛い娘がいいとか、容姿も判断材料にもなっていますが、原始時代ではそんな贅沢なことは言ってられません。

女のモテる条件は生殖可能年齢でとにかく若いこと、それだけです。

若ければ若いほどその後、死ぬまでに産める子の数が多いので。

当時の女はとにかく大量に子供を産んで、育てないといけませんでした。

 

現代でも原始的な生活を続けているアフリカの部族では、女性は生殖可能年齢の間ほぼずっと妊娠していて、妊娠していない期間がほとんどないです。

今でもアフリカでは子供の死亡率はかなり高く、15歳になる前に5人に1人の子供が死亡しています。

原始時代であれば、もっと死亡率が高かったのは間違いないので、とにかく大量に子供を産まなければ、部族の人数が減って生産能力も落ちるし、他の部族との抗争にも勝てなくなります。

そういった事情だったので、某国の大臣が言ったように「女性は産む機械」でなければ、生存競争に勝てなかったわけです。

あの大臣は原始時代からタイムスリップしてきたのかもしれません。

 

P.P.S. 現生人類は長生きし過ぎ!?

元々、ヒトは長生きしても50年程度の設計になっています。

現代みたいな人生100年時代には遺伝子レベルで対応していません。

進化には数十万年単位の時間がかかるので、今ある遺伝子をうまく使ってやりくりする以外に健康で長生きする方法はありません