医師

どうも、若ハゲ番長です。

この前、コメントで「精神力で毛が生えるとか、オカルトですか?」みたいなのがありました。

まぁ、そのコメントをした方は記事の内容をちゃんと読んでないんだと思いますが、このコメント自体はなかなかおもしろいものです。

というのも、

「精神力で毛が生える」説は100%オカルトだとも言い切れない

からです。

 

いやいや、どう考えてもオカルトでしょ

と数年前の僕なら一笑に付して話は終わってるんですが、調べてみると科学的な手法で「思い込みで病気が治る」ことを証明した実例が大量にあります。

今回は、そういったこれまでオカルトだと言われていた治療法の効果が科学的に証明されてきた実例から「精神力で毛が生える」説を検証してみたいと思います。

医師

 

プラセボ効果は実在する

フィナステリドの臨床試験について書いた記事で出てきたプラセボという言葉を覚えてるでしょうか?

これは臨床試験の時に使われる、有効成分の入っていないニセの薬のことです。

 

被験者は2つのグループにわけられ、片方には有効成分の入った本物のフィナステリド、もう片方にはニセの薬プラセボが与えられます。

この2つのグループの効果の差があれば薬効として認められる、というのが臨床試験のざっくりとしたあらましです。

なんで、こんな面倒くさいことをしているのか?

 

それは、有効成分の入っていないニセの薬でも、実際に効果が出る場合があるからです。

つまり、この薬には効果があるんだ!と思って飲んだだけで、効果が出てしまうんです。

不思議な事に・・・

(今回はこの「不思議」の部分がかなり解明されてきたという話なんですが(笑))

 

単に本物の薬を被験者に飲ませただけだと、「思い込み」で効果が出ているのか、薬効によって効果がでているのかがわからない。

だから、プラセボを使って比較試験をするわけですね。

 

ちなみに、フィナステリドの場合だと、有効成分の入っていないはずのプラセボを飲んだグループでも6%の被験者に薄毛の改善が見られています。

もちろん、本物のフィナステリドを飲んだグループはそれ以上に改善していたため、フィナステリドには薬効があると判断されたわけですが、プラセボで薄毛が改善した人も少数ながらいる、というのは事実です。

 

びっくりおったまげなニセ手術!?

このプラセボ効果を検証するために行われたびっくりおったまげな実験があります。

これは薬を飲ませるのではなく、手術を行います。

そう、「実際に手術をするグループ」と「手術をしたフリをするだけのグループ」を比較するという実験なのです。

倫理的にそれ大丈夫なのかよ、というツッコミは実際に相当数合ったらしいですが・・・(;´∀`)

 

とある整形外科の医者が脊椎骨折の患者に対し、錐体形成術という手術を行っていました。

これは骨折した患者の背骨にセメントを注入して強化するという手術です。

彼はこの治療を行った患者が明らかに回復していくのを目の当たりにしていましたし、周囲の整形外科医も同じ手術をおこなっていました。

 

しかし、手術のやり方と術後の経過に関連性が見られないことを彼は不思議に思っていました。

セメントを流し込む位置を変えても効果に差はないし、なんなら手違いでセメントを間違った部位に流し込んでも効果が出てしまうからです。

そこで彼が思いついた仮説が「手術自体よりも手術をしてもらったという患者の思い込みが効果につながっているのではないか」というものでした。

 

で、彼はその仮説を検証する実験を始めました。

131人の脊椎骨折の患者を2つに分けて、 一方には実際に手術をやって、もう一方には手術をしたフリだけするというものです。

患者には手術前に50%の確立で実際に手術をすると伝え、実際に手術をするのかしないのかは、患者には分かりません。

フリだけといっても、そこは実際に手術を行っている状況を忠実に再現して、患者にはわからないようにしています。

局部麻酔は実際に射つし、スタッフも実際の手術と同じように複人数で、手術をしているかのように演技してもらたらしいです。

 

その結果、どうなったのかというと・・・

どちらのグループもほぼ全員が完全に治癒しました。

実際に手術をしても、手術をするフリだけでも、どちらも明らかに効果があり、さらに両者の効果に差はなかったんです。

これは、「思い込み」で症状が改善してしまった一例です。

 

最近では抗うつ薬のプロザックが話題になりましたね。

このプロザックだいぶ前から現場ですでに使われていた薬なんですが、FDAに物申して製薬会社の臨床試験データを開示させてみたら、実はプラセボとの効果の差がほとんどなかったという(;´∀`)

それで作った製薬会社は「こんな薬効のない薬を売りおって!けしからん!」と非難轟々だったらしいですが・・・

 

しかし、プロザックが医療の現場で使われ、効果を発揮しているのは事実です。

たとえその効果のほとんどがプラセボ効果であったとしても。

 

副作用の多くは思い込み?

思い込みで体に良い影響がることもあれば、逆に思い込みで体に問題が生じる場合もあります。

よくあるのが薬の副作用です。

 

こんな実験結果があります。

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アテノロールという心疾患の治療薬を処方された男性90人を追跡調査。

この90人のうち半数は薬について具体的な情報は与えられず、

残りの半数には「副作用で勃起不全が起こるかもしれない」と伝えられた。

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その結果・・・

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前者、薬が何なのか教えられなかったグループは3.1%の被験者が勃起不全を訴えた

後者、勃起不全が起こるかもしれないと伝えられたグループは、31.2%の被験者が勃起不全を訴えた。

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後者では実に3人に1人。

「副作用について伝えられていないグループ」の10倍以上です。

番長
念の為に確認しておきますが、飲んだ薬は同じですからね(;´∀`)

 

これは

副作用が起こるかもしれない・・((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

と思い込んだだけで実際に起ってしまうというわかり易い例です。

僕がAGA治療薬の副作用はあまり気にしない方がよい、と言っている背景にはこういった理由もあります。

 

効くと思うか思わないかで効果が全く異なる

さて、ここまで思い込みで体に影響がでる例を2例ほど見てきましたが、最後に非常に興味深い実験結果を紹介しておきましょう。

パーキンソン病のある治療法の臨床試験の結果です。

パーキンソン病というのは脳の一部に何らかの原因で障害が起こり、手足が震えてうまく動かせなくなる病気です。

最近亡くなったモハメド・アリがかかった病気としても有名ですね。

 

で、脳の一部がうまく動かなくなったのなら、新しい脳神経細胞を入れてやったらうまく動くようになるんじゃないか、ということで、中絶された胎児の神経細胞をパーキンソン病患者の脳に移植するという手術が考えられました。

錐体形成術の場合と同じように被験者のグループを2つに分け、一方には実際に手術、もう一方には手術をしたフリだけする、という臨床試験が行われました。

その結果は、

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2つのグループ間に効果の有意差はなし

どちらのグループにも症状が回復した人もいれば、変わらなかった人もいる

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というものでした。

 

この結果を受けてこの治療法は効果なしと判定され、実用化はされなかったわけですが、面白いのはここからです。

後で回復した人に質問してみたところ、彼らは「自分は実際の手術を受けた」と思っていたのです。

逆に回復しなかった人は「自分はニセの手術を受けた」と思っていました。

 

つまり、治療効果は実際に手術をしたかどうかではなく、

実際に手術を受けたと患者本人が”思ったかどうか”

で決まっていたのです。

 

こういった例だけでも、「思い込み」がいかに重要な役割を果たしているかはよくわかると思います。

ここでは3例を紹介しましたが、こういった人間の「思い込み」が体に影響を与えるという研究結果は世界中にゴマンとあります。

 

プラセボ効果の限界

じゃあ、強く念じればきっと髪もはえてくるに違いない!!!

もう薬なんていらないぜ!!!

と言いたいところなんですが、

残念ながらそうは問屋が卸しません

 

プラセボ効果には限界があります。

まず、プラセボ効果で改善しやすい症状がある程度決まっています。

それは心因性の症状と痛みです。

 

うつ病など心因性のものは「思い込み」で改善しやすいというのは直感的にわかると思います。

痛みに関しては「薬で痛みがなくなる」という期待によって脳内麻薬エンドルフィンが分泌され、それで痛みを感じなくなるのではないか、とする説が有力です。

(実際にエンドルフィンを阻害する薬を飲んでもらうと痛みを緩和する系のプラセボ効果が消失することが確認されています)

逆に、がんの治療などではあまりプラセボ効果が見られません(あっても数%程度)。

 

これまでに収集した情報によると、どうやら体がもともとその症状を回復させる機能を持っている場合はプラセボ効果でそれを引き出すことができそうです。

つまり、現段階の結論としては、

体の自然治癒力の範囲内であれば、プラセボ効果でなんとかできそう

ということのようです。

 

とはいえ、本来ならば治療が難しいパーキンソン病の症状が回復するような例もありますからね。

人間の自然治癒力がすごいということもできますし、思い込みの力がすごいということもできそうです。

プラセボ効果っていうと、気分の問題でしょ、とか言われてバカにされがちなんですが、場合によってはとてつもない効果を発揮するんだよ、ということを覚えておいていただければと思います。

 

番長

パーキンソン病が治ってしまうこともあるわけですからね

 

 

精神力で毛が生える??

で、肝心の育毛にはどの程度プラセボ効果があるのか、ということなんですが、フィナステリドの臨床試験でプラセボで改善が見られたのは6%。

プラセボでほぼ100%治ってしまった頚椎骨折の症状などに比べると、プラセボ効果が現れる可能性はかなり低そう・・・(´・ω・`)

なので、

「精神力で毛が生える」は6%くらい真実で、94%くらいオカルトなんじゃないか

というのが僕の見解です。

 

はい、期待させてすいません・・・(;´∀`)

でも、「俺はフサフサになるんだ!」と念じれはちょっとは効果あるかもしれません。

6%くらいは。

 

番長は精神論に走ったなどと噂されていますが、僕がやりたいのはこういう『科学的な精神論』です。

科学的なエビデンスの無いことは信じない、という基本方針は変わりません。

プラセボ効果のことを考えると、なんでもほいほい信じた方がいいかもしれないんですが、性格的に無理っていう(笑)

損な性格なのか、得をな性格なのかはビミョーなところです。

 

まぁ、今回の「念で毛を生やす」みたいな話は100%オカルトではないにせよ、現実的には実用性は低いと思います。

しかし、僕はプラセボ効果とは別のところで、育毛にはメンタルが大事だと思っています。

 

今回の話で、人間は「心の持ちよう」でかなり体に影響が出るというのは理解してもらえたと思います。

少なくとも「心の持ちよう」が健康に重大な影響を与えるというのは想像に難くないでしょう。

育毛とメンタルの関連に関して言えば、念じれば毛が生えるみたいな直接的な影響はほぼないにせよ、健康を介してメンタルが頭髪に影響を与える可能性は十分にある。

 

もっと具体的に言えば、「心の持ちよう」で体内の成長因子の分泌量が変わります。

そう、最近、育毛剤によく配合されるようになってきたあの成長因子です。

 

ということで、この続きは健康講座で∠( ゚д゚)/

以上、健康講座の宣伝でした(笑)

(現在、表では募集しておりません)

 

コメントでも質問が来ていたんですが、健康講座は有料になります。

これまで無料で公開されているブログという形式でやってきたんですが、この形式に限界を感じていたというのは前にも書いたとおりです。

ブログはブログでこれからも無料で続けていきますが、今回の講座は有料にしています。

 

というのも、今回の講座を作るのに尋常ならざる労力がかかったからです。

死ぬほど本と論文を読みつつ、約1年間ひたすら人体実験を重ねてきましたからね(;´∀`)

頑張った甲斐もありまして、この講座は健康法の講座としては現時点で日本で最高レベルのものができたと感じております。

少なくともここまで信頼性の高い科学的根拠を元に作られた健康法は皆無でしょう。

 

ここまで精根かけて作ったものを無料でブログ上で公開するのにはだいぶ抵抗があります。

作りかけの状態で一回全部消えるという大事件もありましたし(遠い思い出)、

書籍と論文で数十万円の実費がかかっているというのもあります。

 

もちろん、批判するしか能のないヤツらも見れるブログで公開するのは癪だ、という理由も若干ありますが、それ以上に無料だとこの講座の価値が正しく伝わらないのではないか、という恐れが大きいです。

(人間、プラセボ効果からは逃げられなくて、全く同じ薬でも5000円で買うより、1万円で買った方がよく効きます)

 

ではでは、今日も最後まで読んでくれてありがとうございました。