亜鉛の育毛効果まとめ【むしろ逆効果】DHTを抑制は嘘!?

どうも、若ハゲ番長です。

今回は亜鉛の育毛効果について、調べれる限り調べ倒してみました。

 

先に結論だけまとめておくと・・・

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亜鉛が不足すると脱毛症の原因になり得る

亜鉛の多量摂取はむしろ薄毛の原因物質DHTを増やす可能性があり、逆効果になりかねない

長期にわたる多量摂取は鉄や銅を不足させ、健康問題や薄毛悪化のリスクがある

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という感じです。

なぜこういう結論に至ったかは記事中で詳しく解説しているので、ぜひ、参考にしてみてください( ´∀`)bグッ!

亜鉛

 

亜鉛の育毛効果は本当なのか?

亜鉛というのは人体に鉄の次に多く含まれる必須微量元素です。

全身のさまざまな細胞で働く300以上の酵素が亜鉛を含んでいるので、亜鉛なしでは人間は生きていけません。

亜鉛含有酵素は特に細胞の増殖・分化に深く関わっていると言われています。

つまり、亜鉛は細胞の新陳代謝に深く関わっている微量元素と言えるでしょう。

 

で、

このブログでも亜鉛は育毛に必須の成分として、開設当初から取り上げて来ていますが、最近、よくよく調べてみると、「亜鉛って本当に育毛に重要なの?」という疑問が生じてきました。

亜鉛が育毛に良いと言われるようになった背景として

[deco_bg image=”marker-p” width=””]亜鉛が不足すると脱毛が促進する
亜鉛の摂取によりDHTの生成が抑制される[/deco_bg]

という2つの説があります。

(DHTはAGAの原因物質)

まずは、この2つの説を検証していきましょう∠( ゚д゚)/

 

亜鉛不足によって引き起こさる症状

亜鉛が不足した場合、典型的な症状としては・・・

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褥瘡(いわゆる床ずれ、高齢者に多い)
皮膚炎
爪ジストロフィー(爪がもろくなったり、変形したりする症状)
脱毛
味覚障害
舌炎
体重減少
下痢
免疫力低下
生殖機能不全(男性)

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と、引き起こされる症状は非常に多岐にわたっております。

このことからも亜鉛が体のさまざまな機能に関わっていることがわかりますね。

また、皮膚や舌など細胞の入れ替わりの激しい器官に障害が出やすいのも特徴です。

(亜鉛は細胞の増殖に深く関わっているんでしたよね)

 

そう、そして、お気付きの通り、

亜鉛不足の典型的な例として、脱毛が上げられているのですΣ(゚Д゚)!!

何を隠そう、髪の元になっている毛母細胞はすごいスピードで分裂している組織です。

 

亜鉛不足によって引き起こされるのは休止期脱毛

円形脱毛症しかし、ですね。

論文をいくら調べても、亜鉛不足との関連が指摘されているのは、休止期脱毛ばっかりなんですよ(;´∀`)

休止期脱毛というのは主に円形脱毛症びまん性脱毛症のことを指します。

いわゆるAGAは含みません。

どんだけ調べても、AGA(男性型脱毛症)と亜鉛不足の関連を指摘している論文は一つも発見できませんでした

 

そんなわけで、髪が生えるメカニズムを考えれば亜鉛が不足すると良くないのは明白なんですが、AGAの原因になっているかどうかは今のところ不明です。

加えて、亜鉛欠乏症による脱毛の例としてあげられているのは、多くが先天的に亜鉛を輸送するたんぱく質に異常がある病気の人だったり、かなり重度の亜鉛不足の例です。

そんな深刻な亜鉛欠乏状態に陥ることって、普通に生活してたらそうそうないんじゃない?という印象を持ちました。

亜鉛不足による脱毛を心配する必要って、実はそんなにないんじゃないか?と。

(逆にAGAではなく、円形脱毛症やびまん性脱毛症の方は亜鉛不足を疑ったほうが良いかもしれません)

 

ということで、まず「亜鉛不足でハゲる」説を検証した結果としては

極端な亜鉛不足になると円形脱毛症やびまん性脱毛症の原因になるが、AGA(男性型脱毛症)の原因になるかは不明

という感じです。

 

亜鉛の摂取によりDHTの生成が抑制される?

さて、もう一つの「亜鉛の摂取によりDHTの生成が抑制される」説なんですが、これの元になっている論文がこちらです。

Inhibition of 5α-reductase activity in human skin by zinc and azelaic acid

 

すごくざっくりまとめると、

[deco_bg image=”marker-p” width=””]硫酸亜鉛の溶液を培養した人間の皮膚細胞に加えると、5α-リダクターゼの活性が阻害された[/deco_bg]

という内容です。

5α-リダクターゼはテストステロンをDHTに変換する酵素です。

なので、それが阻害されるということはDHTが抑制されるという事になりそうですが・・・・

 

この実験には問題があって、まず、培養細胞に直接、硫酸亜鉛の溶液を加えるという手法で行われている点です。

「培養細胞では効果があったのに、実際に人にサプリとして飲んでもらうと全然効果がない」というのは実はよくあることなんです。

実際には硫酸亜鉛溶液を皮膚に注射するのではなく、口から摂取して、消化管から吸収して、巡り巡って皮膚の細胞にたどり着くわけですからね。

全然、条件が違うんです。

 

さらに、使用されている硫酸亜鉛の濃度はちょうど人間の血中の亜鉛濃度くらいに調整されてるんですが・・・

しかし、「硫酸亜鉛溶液によって完全に5α-リダクターゼの活性が阻害された」と書かれています。

人間の亜鉛の血中濃度と同じくらいの濃度で、完全に5α-リダクターゼが働かなくなるとしたら、平均的な人間の体内では5αリダクターゼは働かないことになってしまいます(;´∀`)

しかし、現実的にそんなわけ無いですよね。

もしそうなら、だれもハゲないはずです(笑)

そんなわけで、この培養細胞での実験結果が人間の体内にも適応できるかどうかはかなり怪しいといえます。

 

亜鉛の摂取でDHTが増加するとする研究

一方で、実際に男性に亜鉛のサプリを飲んでもらって、DHTの量の変化を調べた実験があります。

Effect of zinc administration on plasma testosterone, dihydrotestosterone, and sperm count.

 

これは男性の不妊治療に関する論文なんですが、不妊の話は本筋から外れるので置いておいて、亜鉛の摂取でテストステロン、DHT濃度がどう変化したかだけに注目しましょう。

結果をまとめると・・・

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もともとテストステロンレベルが低かった患者
亜鉛の摂取によって、DHTもテストステロンも上昇

もともとテストステロンレベルが低くはなかった患者
テストステロンレベルはほぼ変わらず、DHTレベルだけが上昇

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と、どちらにしても亜鉛の摂取でDHTが増加したという結果にΣ(゚Д゚)!

(ちなみに亜鉛サプリの摂取で、テストステロン不足だった22名のうち9名が6ヶ月以内に妻を妊娠させることができたそうです)

 

こちらの実験は、培養細胞での実験とは違い、実際に亜鉛を口から摂取してもらっているので、信頼性は高いです。

この2つの実験を比較する限り、亜鉛の摂取はDHTを増加させる可能性が高そうということになります。

すくなくとも「亜鉛がDHTを抑制する」とする説は根拠が弱すぎるでしょう。

 

(どのくらいの量の亜鉛を摂取するとDHTの量が増えたのか?が気になるところなんですが、論文が電子化されてなくて、アブストラクト以外は閲覧できず、詳細な数字はわからずじまいでした_| ̄|○)

 

亜鉛って1日どれくらい摂ればいいの?

亜鉛牡蠣

調べてみたら、亜鉛は「育毛に良い」という説が怪しくなりつつあるんですが、亜鉛があまりに不足すると脱毛が進むというのは間違いなさそうです。

 

では、1日に必要な亜鉛の量ってどれくらいなんでしょうか?

厚生労働省が出している「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると・・・

 

成人男性

推定必要量 8mg/日
推奨摂取量 10mg/日
摂取上限 40~45mg/日

 

成人女性

推定必要量 6mg/日
推奨摂取量 8mg/日
摂取上限 35mg/日

 

となっています。

(ちなみに男性の方が女性より必要量が多いのは、男性は生殖活動で亜鉛を大量に消費するためです。)

アメリカのFDAの推奨一日摂取量では成人男性で13mg、成人女性で8mgとなっていて、日本の基準よりちょっと多いですがそこまで大差はないです。

なので、とりあえずは日本の推奨摂取量に従っておけば良さそうです。

 

亜鉛の吸収率は一緒に食べるもので全然変わる

ここでちょっと亜鉛の吸収率の話をしておきましょう。

亜鉛は一緒に食べるものによって吸収率が大きく変わる元素です。

一般に、亜鉛と結合して水に溶けなくなってしまう物質は亜鉛の吸収を阻害し、逆に水に溶けやすくなる物質は亜鉛の吸収を促進します

 

亜鉛の吸収を阻害する成分

特に亜鉛の吸収を阻害する成分として知られているのは・・・

食物繊維

食物繊維は亜鉛と容易に結合します。人間は食物繊維を消化できないので、食物繊維にくっついた亜鉛はそのまま体外に排出されてしまいます。

タンニン

お茶やコーヒーに含まれる渋み成分タンニンも亜鉛と非常に結合しやすい物質です。タンニンが亜鉛に結合すると、不溶性の化合物になるため、人間は吸収できなくなります。

シュウ酸

ほうれん草などに含まれる成分なんですが、これも亜鉛と結合すると水に溶けなくなるため、亜鉛の吸収を阻害します。

フィチン酸

豆類や穀類の多く含まれる成分で、これも亜鉛と不溶性の錯体を形成するので、亜鉛の吸収を阻害します。

鉄や銅、カルシウム

鉄や銅、カルシウムは亜鉛と吸収が競合するため、これらのミネラルを大量に摂ると亜鉛の吸収が悪くなります。

 

亜鉛の吸収を良くする成分

一方でこれらの成分は亜鉛の吸収効率を上げることが知られています。

クエン酸

亜鉛と易溶性のキレート錯体を作るため、体内で吸収されやすくなります。

ビタミンC

同じく亜鉛と易溶性のキレート錯体を作り、体内での吸収を促進します。

 

吸収に影響を与えるものは色々あるけど・・・

と、こんな具合に亜鉛の吸収に影響を与えるものはめっちゃいっぱいあります(;´∀`)

「え!?こんなに気にしなきゃいけない食品があるの?」と驚かれた方もいるかもしれません。

 

 

僕はどうしているのかというと・・・

特に気にしていません!(笑)

理由は単純で、気にしだすとキリがないからです。

 

それにサプリで少なくとも推奨量以上は摂っています。

上で紹介した推奨摂取量は”亜鉛の吸収の悪さ”も考慮して計算されています。

なので、多少、吸収効率が悪くなったところで、推奨摂取量を摂っておけば亜鉛が不足することはないだろうという判断です。

 

過剰摂取のリスク:鉄や銅が不足!?

今度は亜鉛を摂りすぎるとどうなるのか?という話です。

 

まず、

一気に亜鉛を570mg以上摂取すると、むかつきや嘔吐、食欲不振、腹部痙攣、下痢、頭痛などの症状が出ます。

570mgっていうと、相当な量(高用量のサプリを10錠ぐらい)なのでまずそんな量を一気に飲む人はいないと思いますが・・・

 

しかし、これは一気に飲んだ場合に問題になる量です。

もっと少ない量でも長期間のみ続けた場合は、体に悪影響が出ます。

 

亜鉛の吸収は鉄や銅と競合する

亜鉛の過剰摂取で問題になりやすいのは、長期の過剰摂取による銅や鉄の欠乏です。

亜鉛、銅、鉄は同じ経路で体に吸収されます。

なので、亜鉛、銅、鉄は吸収が競合します。

 

イメージとしては「亜鉛+銅+鉄」の合計で吸収できる上限が決まっている感じです。

合計で上限以上には吸収できないので、亜鉛が大量に吸収されると、銅や鉄はその分、吸収されなくなります。

その結果として、亜鉛の長期間の過剰摂取で、鉄や銅が不足してしまう危険性があるわけですね。

 

どのくらいの量なら飲んでもOK?

ある研究では被験者に毎日50mgの亜鉛をサプリとして飲んでもらったところ、10週間で

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血中の銅を含む酵素活性低下
血中のフェリチン(鉄)濃度の低下

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が見られたそうです。

 

ちなみに亜鉛欠乏症の治療に使われる量でも1日摂取推奨量の3倍程度です。

しかも、その量を永遠に飲み続けるわけではなく血中の亜鉛濃度が回復したら、量を減らします。

それを考えると50mgを飲み続けるのは多すぎると言えます。

 

上で挙げた摂取上限を超えないように気をつけましょう。

 

亜鉛不足より鉄不足の方が髪には問題!?

実は興味深いデータがありまして・・・

休止期脱毛の患者の血中のミネラル濃度を調べたところ、患者のうち

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45.2%がフェリチン(鉄)不足
9.6%が亜鉛不足

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というデータがあります。

つまり、脱毛症の患者では亜鉛不足の人よりも、鉄不足の人の方が圧倒的に多かったのです。

なので、

髪にとっては亜鉛不足よりも鉄不足の方が問題である可能性

もあります。

 

何事もバランスが大事ですので「亜鉛を摂りすぎたせいで鉄が足りなくなった」なんてことにならないように気をつけましょう∠( ゚д゚)/

 

まとめ

あれやこれやと亜鉛についてみてきましたが、まとめると

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亜鉛が不足すると脱毛症の原因になり得る

亜鉛の多量摂取が育毛につながるという根拠はない

長期にわたる多量摂取は鉄や銅の不足のリスクがある

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ということになります。

 

この結果を受けて、育毛最強セットからはZINC(亜鉛が30mg含まれているサプリ)を削除しました。

30mgをサプリから摂ると、食事と合わせて摂取上限を超える可能性があるためです。

 

断っておくと、摂取上限は「これを超えたら健康問題が生じるリスクがゼロではなくなりますよ」という量なので、摂取上限を超えたからといって直ちに問題になるわけではありません。

「摂取上限以下であれば、まず健康問題は生じないだろう」というかなり安全設計で作られています。

なので、毎日30mgを摂っていたという方も、急に問題が起こるなんてことはまずないので、ご安心ください。

 

亜鉛とどう付き合うべきか?

で、この結果を受けて僕はどういう方針で行くのかというと・・・

 

亜鉛不足にならないようにサプリで推奨摂取量を摂る

不足になると髪に良くないのは確実なので、推奨摂取量程度をサプリで摂ることにしました。

現在飲んでいるマルチビタミン&ミネラルBOSTONに含まれている亜鉛でだいたい推奨摂取量くらいになります。

これに食事からの亜鉛もあるので、不足することはまずないでしょう。

 

摂るタイミング・食べ合わせについては気にしない

亜鉛の吸収を阻害するものを食事から排除しようとしたりすれば、食事を考えるストレスでハゲそうです(笑)

なので、特に気にしていません。

毎日ランダムな条件で摂っていれば、吸収される日もあるので、それで事足りるだろうという判断です。

 

サプリ+食事で推奨摂取量は確実に超えるので、多少吸収が悪くても大丈夫でしょう。

物量作戦です。

もちろん亜鉛吸収のために食事にも気をつける余力がある、という方は気をつけても良いかもしれません。

 

推奨摂取量以上にサプリを飲むことはしない

多量摂取しても育毛につながるかどうかは分からないし、むしろ多量摂取続けると鉄や銅が不足してしまうリスクがあるということで、推奨摂取量以上のサプリを飲むことはしない方針にしました。

サプリ代も減って経済的です(笑)

 

以上、亜鉛の育毛効果についてお送りしました!

参考になれば幸いです。